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教育と学習と効果と成果

最近、興味深く見たテレビのまとめ


■番組1
5月16日(土)Eテレ ETV特集
孔子がくれた夢 〜中国・格差に挑む山里の記録〜」を見る。
番組ホームページ


・中国では、20世紀は弾圧されていた儒教(「論語」)教育が大ブームになっている。
・中国では、以前貧富の格差が激しい。
この2点を組み合わせた番組


貧困家庭の子どもの就学を支援するNGOで現場責任者を務める石卿傑氏
彼らのNGOの取り組みは、貧困村落の子どもたちに「論語」を配り、暗記させ、
学習意欲を高め、いずれは論語の講師として食べていけるようになる。というプロジェクト。
2010年 彼が貴州の山奥で熱心に論語を教える光景、
都会でこのNGOの取り組みへの寄付を呼びかける光景、
そして、北京へ子どもたちを連れて行き、夢を抱かせる光景が描かれる。


社会の期待や、子どもたちの期待とは裏腹に、
計画は起動には乗らない。
・都会の子どもたちも論語を学び論語教師になろうと専門学校に通う中で、
 暗記しているだけの貧村の子どもたちが教師になることは厳しい。
・学習意欲は高まったが、経済的理由で学校へ通えない子どもたちは減らない。
(一部の極めて優秀な生徒は特待生として出世を期待されながら学び続けている)
儒教学者が貧困の問題に正面から向きあおうとしない。


石卿傑氏自身は、
生活面での困窮と構想の行き詰まり感からNGOを辞め、
儒教の塾の漢服(制服)の販売を行うビジネスを始める。
「このビジネスが成功したら、自身の工場で多くの貧しい農村の人々に
働いてもらって、彼らの役に立ちたい」と述べる。


■番組2
別次元ではあるが教育問題を扱った番組
ニッポンのジレンマ(4月26日(日)放送)
特集「大学のジレンマ?教育のジレンマ?」を録画で見る。
http://www.nhk.or.jp/jirenma/20150426.html


MC:古市憲寿青井実アナ
ゲスト:石井英真(京都大学大学院教育学研究科准教授)
岩瀬大輔ライフネット生命保険代表取締役社長)
先崎彰容(日本思想史研究者)
パックン(タレント、ハーバード大卒)
藤井悠夏(Famarry代表取締役
映像での出演
小宮山宏(元東京大学総長)

文部科学省2015年1月に策定した「高大接続改革実行プラン」
高大接続改革実行プラン平成27年1月16日文部科学大臣決定
の効果について論じられるが、
「学力の三要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」)を踏まえた評価・・」などに対して、
論者の意見は、少し冷めたものであった。


岩瀬氏の意見はシンプルにまとまっていた。


1:教師の側に教えることに対しての意欲(インセンティブ)をもっと持たせるべき。
→学びたい奴だけ学べという「学習」機関から、白熱教室のような「教育」機関への転換


2:教師を事務員が行うような雑務から解放し、教育に専念させるべき。
→事務職員の増員を制度化。家庭で学ぶべきこと・地域で学ぶべきことと分離する。


3:生徒の学ぶことへの意欲(インセンティブ≒動機付け)を高める。

上の3点を変えれば、学習内容を改めなくても改善されるのではないか?という意見。


また、全論者共通の意見として、
創造力などが発揮できにくい環境・調和を乱してはならないという環境が、日本の社会構造として強くあり、
そこの部分を変えなければ、その学びの場だけは創造的・主体的であれてもすぐにもとの状態に戻ってしまうのではないか?
そのような人材が増産されても、そのスキルを活かせる場がどれだけあるかは未知数。
(司法制度改革後の若手弁護士の飽和状態と似た状態になるのでは・・)
そういった点では「G型大学×L型大学」の考え方は、理想的ではないが現実社会に則している。
「G型大学×L型大学」一部のトップ校以外は職業訓練校へ発言の波紋 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online
我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性PDF

との意見があった。


この2つの番組の次元は、大きく異なる。
上のETV特集に関して、「論語を学べば食べていける」という発想がやはり短絡的すぎると思う。
多くの宗教がそうであるように、思想を学ぶことは、出世するためのツールではなく、
現状に満足を覚えることや自身の生活を律する効果が主であると思う。


「G型大学×L型大学」は、興味深い考え方であり、
これとともに職業の階層化(構想・指示・管理する側とそれに従い実行する側の二極化)は進む。
と私も思う。


パトリックが「クリエイティブな仕事をしたくないというアメリカ人はいない」と言っていたが、
どちら側へ回っても苦しく大変な仕事のイメージがわいてくるのが正直なところ・・である。