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白洲さんと新しさ

仕事のリズムが変わり、ブログを記す習慣も消えてしまいそうな状態。


以前は、その週に感じた特異なことを、
ある程度掬(すく)いあげる役割を果たせていたけれども、
その特異点特異点のまま、記憶の隅に放置されている。


例えば7月の初め、仕事の出先の昼食後、
白洲正子さんの「私の百人一首」という本を公園のベンチで読んだ感覚も、
書こうと思いつつその機を逃してしまった。
ただ、関心事は固定されたままのようで、
昨日、本屋さんに行き、青土社の棚を眺めていたら
ユリイカ臨時増刊号「白洲正子」(1999)、「百人一首」(2012)が目に留まる。
白洲さんの本は最近出た本なのかと思い購入したけれども、
文章を寄せている人は冒頭から前登志夫多田富雄鶴見和子辻井喬と続くが、
皆ここ数年に亡くなられた人ばかりである。
しかし、かといってこの本が古びてしまっているわけではなく。
鬼籍に入っていることが古典としてあたりまえのように感じられることが、
白洲さんらしさである気もする。


別の書棚で
レナード・コーレンというアメリカ人によって記された「わびさびを読み解く」という本を購入する。
本国では20年近く前に出版された本であるが、日本語訳として出版されたのはつい最近今年6月末。


27ページに
モダニズム」と「侘び寂び」の差異について整理されている箇所があり興味深い。

モダニズム / わびさび


01:主として公の領域で表現される / 主として私的領域で表現される
02:論理的、合理的世界観を示唆 / 直感の世界を示唆
03:絶対的 / 相対的
04:普遍的でプロトタイプ的解決策を模索 / 個人的で型破りな解決策を模索
05:大量生産・モジュール方式 / 一点もの・可変的
06:進歩への信奉を表現 / いかなる進歩もない
07:未来志向 / 即今志向
08:自然制覇を信じる / 自然が基本的に制御不能であると信じる
09:テクノロジーを美化 / 自然を美化
10:機械に順応する人々 / 自然に順応する人々
11:形の幾何学的構成 / 形の有機的構成
12:比喩的には箱(直線的・正確・ある範囲内のとどまる) / 比喩的には鉢(自由な形・先端が開いている)
13:人工素材 / 自然素材
14:滑らかな表面 / 荒い表面
15:行き届いた管理を要する / 劣化や消耗を受け入れる
16:潔癖さが表現をより豊かにする / 腐食や汚れが表現をより豊かにする
17:感覚的情報の縮小を歓迎 / 感覚的情報の拡大を歓迎
18:曖昧さや矛盾に非寛容 / 曖昧さや矛盾に違和感がない
19:冷たい / 温かい
20:概して明るく鮮明 / 概して暗く不鮮明
21:機能と使い勝手が主たる価値 / 機能と使い勝手をあまり重視しない
22:完全な物質性が理想 / 完全な非物質性が理想
23:恒久的 / あらゆるものに季節感がある


このように整理したがるのは、そもそもモダニズム的精神かもしれないが、
22番目の「完全な非物質性が理想」というのは、確かにそのとおりかもしれないと思う。


侘び寂びの復権を主張するわけではないけれども。
「進歩や新しさに強い価値を見出す時代は、もうこれくらいでいいのではないか」
という気持ちは以前からしており、全然そんなことなくても、
私個人だけでも、そこから脱してもよいのではないかと思っている。

Wabi-Sabi  わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers

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私の百人一首 (新潮文庫)

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ユリイカ1999年2月臨時増刊号 総特集=白洲正子

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