上質のものを長く

先日、仕事で某キッチンメーカーに提案を依頼した。
今週、プレゼン資料を届け来てくれ、プレゼンテーションとともにキッチンについての話をうかがう。

日本の市場が“長持ちさせよう”ということを意識した構造になっておらず、
必然的に販売者の側も、「修理するより、あと○万円追加すれば新しいものが買えますよ」
というアプローチの仕方をする。
製品自体もその流れを念頭に置いた設計コンセプトとなっている。


今でも多くの人が「海外の機器は壊れやすい・アフターフォローが雑・交換部品が効かない。」といった
先入観を持っているが、欧州のメーカー(一部のメーカーかも知れないが)では、キッチン周辺の機器
(食器洗い機、コンロ、オーブンなど)において、そのような問題点は改善され、日本よりも優れた部分も多くある。


どちらを選択するかは、個々人の価値観の問題。
そもそも海外の製品と日本の製品では、製品を作るスタート地点で発想が異なっている。
食器洗い機を例に挙げれば、海外の製品は(当たり前だが)「食器を洗うこと」がコンセプトになっている。
一方、日本の製品は、様々な便利機能が付いていて、食器を早く乾燥させる機能もついている。
しかし、食器を加熱乾燥させる行為は食器を痛めることになり、欧州の人はそれを嫌う。
欧州では自然乾燥させる食器洗い機が主流である。


キッチンを販売するアプローチの仕方と食器洗い機の開発理念は、共通の価値観から導かれている。

キッチンメーカーの方が話された際は、その日本と他国の文化の違いをはっきりと理解できた気でいたけれども、
あらためて頭のなかで再現してみて文章に起こしてみると違いをくっきり示せない。
しかし、違うのは明らかだ。


最近、「日本人はやっぱり優れた国民だなぁ」ということを自負する情報がテレビでもネットでも多いが、
このキッチンのことで示される日本人の鈍化している部分は、もっと自覚するべきだと思う。


だけれども、客としての個人単位では、あまりその理念を貫けないような産業構造(かえって損をするしくみ)になっており、
また、その流れ前提でお金も循環しており、根深い。


「上質のものを長く」


大きな企業はこのようなコンセプトを示すことは困難だと思う。
(成長しなければならないし、雇用を維持しなければならないし)


設計者不在でも建物が建てられる現在において、
設計者の役割はそこを提供することにあるのかもしれない。


現在の日本人をとりまく環境では、多くのユーザーのニーズだけでは、正しい方向に至れない気がする。