食う寝るにある暗い美

会社の帰りに寄った古書店で雑誌「ku:nel」(クウネル)が10冊程度並んでいた。
その内の一冊2005年9月号「木陰主義。」を購入する。
たくさんの台所を見せて貰いました — ku:nel (クウネル) — 自由に生きる大人の女性へ! — マガジンハウスの本


この雑誌の副題(雑誌コンセプト)は「ストーリーのあるモノと暮らし」である。
特に女性ファッションが掲載されているわけではないが、
女性向け雑誌という意識があったので(おそらく書店での分類でもそう)
今まで読んだことはなかったが、「住む。」「KINFOLK」同様、
ふつうの生活の価値・美・物語を再発見するという私好みの内容であった。
たとえば、「畳の上にカーペットを敷いてその上に仕事机を置く」
というような、気取りのない普通の生活が描かれている。
もう創刊して10年が経過している・・。


雑誌の中の写真を眺めていると、あたりまえのことだけれども、
普通の人は、特別美男でも美女でもなく、
特別立派な人でもないのだということに気付く。
(その他の雑誌ではそういう人はあまり出てこない)
そして、それら(美貌や肩書)に装飾されないことで初めて見えてくるものもある。
昔、同じ古書店で買った岡本太郎の「沖縄文化論」の中の老婆の写真を思い出した。
岡本太郎はこの老婆の中に(そして沖縄の生活全体に)同じ美しさを発見したのだと思う。

(↑久高のろ(祝女:シャーマン)氏の手 撮影:岡本太郎


「沖縄文化論」の序文には、
小林秀雄の有名な講演「信ずることと考えること」でも言及されている
柳田國男の「山の人生」の中の話が小林と同様の衝撃をもって引用されている。
(炭がどうしても売れず、飢えきってどうしょうもないところを、
子どもたち自身が斧を研ぎ、自分たちを殺すように父に言い、
父はそれを実行してしまったという話(青空文庫で読めます:山の人生))

私はかつてない衝撃を受けた。
人間生命の、ぎりぎりの美しさ。
それは一見惨めの極みだが、透明な生命の流れだ。
いかなる自然よりもはるかにたくましく、新鮮に、自然である。
かつて人間が悠久に生きつぎ、生きながらえてきた、その一コマであり、
またそのすべてを戦慄的に象徴している。
ヒューマニズムとか道徳なんていう、絹靴下のようなきめですくえる次元ではない。
現代モラルはこれを暗い、マイナスの面でしか理解することができない。
だがこの残酷である美しさ、強さ、そして無邪気さ。
よそは知らない。しかしこういう根源的な人間生命が久しい間、
そして今日まで、日本とその周辺の世界を支えてきた。
沖縄物語を展開する前に、こんな山奥の炭焼きの話をひいたのは、
まさにこの島の生活、その基底にこそ、そのような生命の感動が生きつづけているからだ。


この引用文を改めて眺めているとき、
Eテレ日曜美術館」でムンク傑作10選がアンコール放送されていて、
これにも似た美しさを感じた。その10点は以下のもの。
(ゲストに前回の記事で触れた斎藤環さんが出演されていた)
1.叫び
2.病める子
3.思春期
4.声
5.マドンナ 
6.ブローチの女(石版画)
7.キス(木版画
8.宇宙での出会い(木版画
9.地獄の自画像
10.時計とベッドの間の自画像

1の叫びの中にいる頬をかかえ叫んでいる人物だけをムンクの表現と捉えてしまうと、
彼の表現の美がまったく見えなくなってしまう。
「不安と病がなければ私は舵(かじ)を失った船のようなものだ」という言葉が、
番組で引用されていたが、その弱々しさあってこその美しさだと改めて感じた。


これら暗いもの、地味なものの美しさを感じる自分の中のアンテナが、
退化してしまったという感覚はあまりないけれども、
自由に使える時間、一人で過ごせる時間が減ったせいか、
そういった美しいものにふれる機会がかなり減ってしまった。
そういったものを私自身も表現したい。
何度も、ここでそう書いているけれども、それはまだまだ具体性を帯びていない。


英語版のストレングス・ファインダーで、
Gallup Strengths Center
89ドルを支払い、34の特性の順番すべてを調べてみると、
上位5つ、下位5つは以下のようになった。

Input収集心
Intellection内省
Context原点思考
Learner学習欲
Discipline規律性


Includer包含(キャパ)
Communicationコミュニケーション
Competition競争性
Command指令性
Achiever達成欲(体育会系なもの)

この傾向としても、上記の表現は私の強みとも反しない気がする、
あとは、社会に役立てられるようにする手立てを考えるのみ・・なのだろうか。

沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)

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ku:nel (クウネル) 2014年 01月号 [雑誌]

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ストレングス・リーダーシップ―さあ、リーダーの才能に目覚めよう

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