尺度と視点

27日(金)勤めている事務所の納会があり、
後輩の今年をふりかえっての言葉を受けて、
建築設計行為におけるスケールと思考について所長が話された。


現場を知らなければ、雑詳細図スケール(1/1、1/5、1/10など)は考えることができないし、
また、そちらばかりに意識がとらわれてしまうと、
配置図、都市計画地図的なスケール(1/500、1/2500など)の思考ができなくなる。


細部を決定し、全体へ思考を拡大していく人もいれば、
全体を決定してから細部へ思考を縮小していく人もおり、
どちらが正しいとも言えないが、どちらの視点も必要。


というような内容であり、
言葉を受けてスムーズにこれらが言葉として出てくることに素直に感心した。
スケール思考について私自身の実感では、それぞれスケールの思考を行う者が、
細分化されてしまっていて、そのスムーズなスケールの移行が、能力としてもできないし、
また、仕組みとしても上手くできない状態である。
しかし、それは心がけ次第で、私はその心がけを怠(おこた)っていた。


大学卒業後、働き始めたときにはすでに100%、CAD(パソコンで図面を書くソフト)が
作図行為の主となっており、あるスケールを持って思考するということが、私の中で習慣化できていない。
(パソコン上では、スクロールすれば1/1より拡大することも、
1/10000まで縮小することも自在なので)



このようなスケールについて述べられている文章はいくつか読んだことがあるけれども、
映像として記憶に残っているのは、チャールズ・イームズの「POWER OF TEN」という作品である。
これは1977年に制作された9分程度の映画で、YOUTUBEで見ることもできる作品。


チャールズ・イームズの師匠でもある建築家エリエル・サーリネンが語った
「いつでも「できるだけ最大の視野」と「できるだけ最小の視野」からものごとを眺め、問題を検討すること」
というアドバイスもこの映画製作のきっかけとなっているのだという。
この映画で、イームズ事務所の関心領域を示すとともに、
私たちの思考が持つ制約を示している。

屈伸運動ではないが、日々このような視点の移動のイメージ訓練をしていれば、
それぞれのスケールで考えるべきことが見えてきやすくなるのかもしれない。

イームズ入門―チャールズ&レイ・イームズのデザイン原風景

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