ブータン・格子窓・生物多様性

先週の日曜日の朝、いつものように朝早く目が覚め
テレビをつけると、ブータンに関する番組が放送されていた。
(NHKEテレ 「こころの時代 アンコール「幸せの形と向き合う」」2013.10.27 5:00〜)


ブータンは経済発展よりも国民の幸福を優先させる国として注目されるが、
番組の中で示されていたブータンのGNHの4つの柱
(GNH=Gross National Happiness/国民総幸福量

1.公正で公平な社会経済の発達
2.文化的、精神的な遺産の保存、促進
3.環境保護
4.しっかりとした統治

は、シンプルなマニフェストで、共感する部分も多いので、
もう少し調べようと思いブータンに関連する書籍を近所の図書館で借りる。


高野秀行「未来国家ブータン」(2012年3月)
・根本かおる「ブータン「幸福な国」の不都合な真実(2012年9月)
かわしまよう子ブータンが教えてくれたこと」(2013年7月)


学ぶべきところは多いが、
今後も経済発展と平行してブータンブータンらしさを継続していけるかというと疑問であり、
現在でも重労働はインドからの貧しい移民に頼っていたり、
ネパール系ブータン人の難民問題(チベットブータン人とは言語も宗教もちがう)
などもあり、一概に目指すべき国とは言えないように思えた。


例えばマニフェストの2番目にある「伝統文化保護政策」についても、
ブータンではチベット系の伝統文化が保護対象となることが多く、
ネパール系の人々は、慣れない文化を強いられるストレスを感じている。



先週、受けたヘリテージマネージャー育成講習(講師:高田昇氏)でも、
似たような話があった。

「日本の伝統的街並みのデザイン要素となる格子窓は、
地域によって部材の大きさも部材間の間隔(ピッチ)も異なる
それを理解せずに何でも同じ格子にすると逆に地域性を失うことになる。
そのような「なんちゃって修景」にはしたくない。」

そう言われるまで、意識したことはなかったが、
建物の形状も方言と同じように地域の特性があるのは自然なことだ。
けれども、その地域のデザインの特性(デザインコードのようなもの)を
汲んで設計をしている人はどれほどいるだろう(そもそも格子を採用しない)


当然、鎌倉時代であっても、遅れた関東地域に京の洗練されたデザインを持ち込んで
京風の建物が建つというようなことはあったと思うが、
それは自然な伝播であり、今ほど雑種が生まれやすい環境ではなかったと思う。


衣食住の風土の文化に対して、改めて地域ごとに守らなければならないと意識され始めたのは、
食に関してはイタリアのスローフード運動などの流れを受けたごく最近のことであり、
(例えばフードデレクター野村友里さんらによる運動:Nomadic Kitchen
衣に関しては洋装の定着によりほぼその地域文化は、
伝統的織物・染物など特殊なものを除いてほとんどない。
住に関しては、地域特性を整理して保存しようという動きは、一部の地域を除いてあまり見ない。


ロハス的な用語で「生物多様性」というものがあるが、
自然・文化の多様性を保ちつつ(多様性の価値を尊重しつつ)発展していく、
ということは、とても難しいことだが、やりがいのあることだと思える。
グローバル化過剰、東京一極集中過剰へのブレーキにもなる。


イオン環境財団生物多様性オンラインマガジンというものがあり、
生物多様性についてわかりやすくまとめられている。
(先週第三回生物多様性日本アワードが決まったよう。
The MIDORI Press 生物多様性オンラインマガジン))


そのような方向に進みたい。

ブータン――「幸福な国」の不都合な真実

ブータン――「幸福な国」の不都合な真実

スローフードに関して以前書いた記事:スローフードと顔の見える化 - 心象図録