祖母への90歳ヒアリング

先週に続きグッドデザイン賞を眺める。

今年のグッドデザイン賞を受賞した
持続可能なライフスタイルデザイン手法 [90歳ヒアリングを生かした街づくり:90歳ヒアリングについて]
持続可能なライフスタイルデザイン手法 [90歳ヒアリングを生かした街づくり:90歳ヒアリングについて] | 受賞対象一覧 | Good Design Award
が興味深い。

概要
現在の90歳は「連綿と日本に受け継がれてきた、自然と共に生きる暮らしを覚えている世代」です。
つまり環境負荷が現在の半分以下だった戦前に成人しました。
この90歳前後の高齢者に当時の暮らしについて聞き、ライフスタイルのヒントを得ます。
過去の生活にあり今の暮らしにないものに着目。
経済発展の過程で失われたものや失われつつあるものを探し出し現代版に焼き直し、
新しいライフスタイルを創り出します。
昔に戻るのではなく、何気ない昔話に隠された生活のヒントを掘り起こし、
先人から伝承されてきた知恵、地域の文化や暮らし方から、
現代の社会でも受け入れられる新しいライフスタイルや被災地を含めたまちづくりをデザインします。

(その活動のサイト→ 乾燥肌を守ってくれる保湿クリーム

全体像はまだよく把握できていないけれども、
その視点は地に足がついていながら、とても新しく面白い。


私にも、今年ちょうど90歳になった祖母がおり、
最近は月に一度程度であるが、訪ねる。


昨日朝、訪ねると台所で
大きな音量で「ビフォー・アフター」の再放送を見ていた。


以前、その祖母から聞いた
「祖母のおじいさんも大工の棟梁をしてたから、
(私が)建築設計の仕事についたのはその縁があるんかもしれんなぁ」という言葉について、
私の母はそれを知らなかったので、昨日祖母に直接訪ねる。


祖母の回答は「おじいさんちゃう、おとうちゃんの弟や。おとうちゃんも一時(いっとき)してたらしいけどな」とのことであった。
その祖母の父方の家系は代々、奈良で融通念佛宗の僧職にあったが、
長男であった祖母の父は、お寺を継がず、大阪へ出る。(おそらく大正10年ごろ)
結果、勘当扱いになり長く実家へ帰ることができなかったという。
大阪へ出たもののいくつか職を変え、大変苦労をしたとのこと。

弟は、祖母の父が寺を継がないと決まった時点で、既にその大工の職にあったので同じくお寺を継がず、
結局、姉妹の子供(つまりは祖母のいとこ)が継いだが、太平洋戦争で戦死、遺骨も帰ってこなかったとのこと。
(現在も、跡継ぎがうまくいかない状態が続いている。)


祖母は「今日は休みか?」など短期的な記憶力はかなり低下しているが、
昔の出来事については、鮮明に覚えており、
以前も室戸台風(昭和9年)で四天王寺五重塔が倒壊した際、
その災害救助の現場(20人程度が下敷きになり3人が死亡)に、
祖母の兄が手伝いに行った話などをしてくれた。
(大阪へ来た祖母の父は最終的には四天王寺近くに住んだ)

(↑当時の報道写真)


柳田國男宮本常一らの民俗学者は、もっと前の段階で、
先人の言葉を集めたけれども、
「今90歳の人は終戦時に成人していた」ということを活かそうという着眼点は、
確かにグッドデザイン賞だと思う。
そして、それをまとめて記したものに賞を与えるのでなく、
活動に賞を与えるという行為は、
最近のアートなどにも共通する「モノ」から「コト」への流れに通じているのだろう。



(↑9月末 持って行った果物を祖母が仏壇に供えているところ)