写実絵画と意味

昨日、午後からの出勤前に阪急百貨店9階で開催されている「ホキ美術館名品展」を鑑賞する。


ホキ美術館は昨年の建築家協会の「日本建築大賞」(グランプリ)を受賞した個人美術館で、
写実絵画のみをコレクションしている。当然、今回の巡回展も写実絵画である。
ホキ美術館 HOKI MUSEUM


以前にこの日記でも記した諏訪敦氏の作品は来ていなかった。
2012/2/11AR(拡張現実)と写実絵画
それでも写実絵画というものに私は関心があるだろうと期待を込めて行ったが、
正直、どの作品もいまひとつ良いとは感じれなかった。


どうしても、その絵の中に物語や意味、構図や余白や線の美しさを求めてしまうが、
それらが見出だせなかった。(森本草介氏の作品には多少感じた)
他の鑑賞者は皆、絵に接近しては「よく描けているね〜」とテクニックを賞賛していた。
私も同様に接近し、油絵で髪の毛がここまで再現できるのかと感心した。
改めて写実絵画について調べてみたけれど、個々の作家でそれぞれ独自のスタンスがあり、
私が他の優れていると感じる芸術に対して見いだせる魅力が無いところが、
逆に写実絵画の魅力なのだ・・とも言い切れない。



12月15日に放送された「ファッション通信」では
クリエイティブディレクターの伊藤直樹さんらによるプロジェクト
「OMOTE 3D SHASHIN KAN」が紹介されていた。
http://www.omote3d.com/index.html
これは3Dスキャニングされた人のデータを3Dプリンターでフィギア化して、
記念写真のように記念フィギュアが作れるというもの。

まさに写実そのものであり革新的であると思うが、
「こんなことができるのか!」という驚きが先行しているだけで、
芸術としての価値はこれ自体にはあまり無いように思われる。
(作品そのものではなく、一連の作業がアートだといえば言えなくもない)


諏訪敦氏は「ヴァニタス」というジャンルの絵をよく描かれている。
(観る者に対して虚栄のはかなさを喚起する意図を持って絵画の中に頭蓋骨や腐った果物などが描かれたもの)
ヴァニタス - Wikipedia
単なる写実絵画でなくこのような意味が加わると見ていて安心する。
(単なる写実絵画などないという批判を受けそうな表現であるが、今の私には他の写実絵画は単なる写実絵画に見える。)



かといって頭蓋骨のみ描かれていても安心しない。
写実絵画や3D写真フィギュアは、
適度な意味を添加されて、ようやく輝きだすものなのだと思う。


(私だけが、そもそも持っている意味を読み解けなかっただけなのかもしれないし、
意味を求めるのは古いのかもしれないし、上記はあくまで私の極私的感想です。)