Vanishment "This" World

現在放送されているアニメ「中二病でも恋がしたい」の中で、
ヒロインの小鳥遊六花(たかなしりっか)が唱える呪文のようなものがある。

「爆(は)ぜろリアル! 弾けろシナプス! Vanishment This World!」

TVアニメ『中二病でも恋がしたい!戀』公式サイト



昔のアニメは、このような呪文を唱えれば、
主人公の手から光のようなものが発せられ、現実が塗り替えられ、実際に世界が変わったが、
この作品では、あくまで妄想のたぐい(中二病)として扱われ、
「いい加減卒業しろ!」と周囲から嘲笑やあきれの対象として扱われている。



ニコニコ大百科ではこの呪文に対して、
下記の解説がなされている。

術者がイデアに直接アクセスすることにより現実境界線を歪ませ、
過剰活動をさせたシナプスより自らの心象風景を外界へ投影、
世界そのものを一瞬にして塗り替える窮極の禁呪。
ニコニコ大百科


現在放送中なので、今後、どのように説明付けされていくのかはわからないけれど、
現時点では、ヒロイン小鳥遊六花は、父の死などの現実を直視したくない思いから、
これらの虚構の世界に逃避しているとされている。
主人公の冨樫勇太はそのようなイタさを中学で卒業した者、
そしてそのようなイタさにハマっていたことを恥じる者として描かれている。
(とは単純には言えない描写が随所に表現されているが、前提条件としてはそのように設定されている)


イタい、恥ずかしいとされるのは、虚構のそのものではなく、
虚構(心象風景)に埋没し、現実世界に戻ってこれないという部分のはずであると私は思う。
この呪文は、現実があって心の中の世界があってという2つが対象として捉えられているので、
イタくはないと思うのだけれども、アニメはそんなに真剣に考えるものでもない。


アーティストと呼ばれる人たちの多くは、実際そのようにして世界を塗り替えようとしているともとれる。
現代の建築家ではそのような傾向・願望は弱くなったけれど、
例えば建築家ザハ・ハディッドの建物は、
「爆ぜろリアル! 弾けろシナプス! Vanishment This World!」という呪文で生まれそうな建物である。
(「一瞬にして」ではなく地道な建設工事がともなうけれども)
本人も似たような呪文を心のなかでつぶやいているに違いない。



今週のTBSラジオ デイキャッチャーズ・ボイスは、レギュラーの宮台真司さんに加え、
作家の高橋源一郎さんも出演されていた。
高橋さんの近著「さようならクリストファー・ロビン」について司会者荒川強啓氏が
「読んで非常に不安になってしまいました。正直、読まなきゃよかったという感じです」とコメント、
それに対して、宮台さんが、
「200年前から言われている、アートと娯楽の違いというのは、
娯楽はシャワーやお風呂と同じように、楽しんで終わればまたもとの普通の生活に戻れるもの
アートはもとに戻った時に、もとの生活を送れなくするもの。なので、そのお言葉は最高の褒め言葉です」と言われる。
2012/12/7の放送:いきなり音なので注意


良い意味で、もとの生活を送れなくするもの。
そういった呪文を私もかけてみたい。

中二病でも恋がしたい!  (1) [DVD]

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さよならクリストファー・ロビン

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