野心の感染

しばらく前に買って、そのまま本棚に置いていた
グロービス経営大学院大学著「志を育てる」を読む。

志を育てる

志を育てる

後半半分は、それぞれの人(卒業生、講師など)の実例で構成されており、
中でも住友スリーエム取締役の昆政彦氏の志の立て方、
キャリアアップの自己研鑚への道のりは、今までの自分にはない発想であった。

以下簡単にまとめる

ビジネスパーソンとして成功したい、そのためには会社の役員となりたい」と
早稲田大学での就活時から、早稲田卒でも役員になれそうな企業にターゲットにしぼり三菱電線に就職。
同期の中で、営業向き、法務向きの優秀な人がいたから、それらは目指さず、
特に関心のなかった会計を自身の強みとしようと、会計学校にも通う。
その後、日本の会計に飽きたらずアメリカの会計手法を学ぶ。
GEからヘッドハンティングされる。
GEは使えない社員は容赦なく下から10%解雇されるという厳しい実力主義の企業であり、
何のミスもしていない人がバンバン解雇されるのを目の当たりにしてショックを受ける。
自信のあった英語も使えないレベルだというのを自覚し、英語力を研鑽。
最高財務責任者CFO)を目指し、そのロールモデル(目標とすべき人物)を徹底的にリサーチ、
人脈を構築。米国公認会計士の資格も取ったが、会計だけの力に限界を感じ、
MBA経営学修士)の取得を目指す、シカゴ大学経営大学院に合格した矢先、
日本への帰国指示が出て帰国。何としても諦められないので何とか許可を得て、
毎月1週間ずつシンガポールまでMBAの講義を受けに行くこと16ヶ月。MBA取得。
念願の最高財務責任者になる。GE日本の経営が傾き大規模なリストラを実施、
不本意にも切る側になる。
ユニクロファーストリテイリングに転職、初めて会計以外の仕事にも挑戦、
そこで任されたCSRの仕事に興味を持ち、早稲田大学博士課程に入学、
住友スリーエムに入社。

大手企業の役員というのは、数えてもきりがないほどいるが、
皆このような揉まれ方をして登ってきた人なのだろうか・・
自分は全然努力が足りないと、良い意味で危機感を持った。


話は変わるが、しばらく録画がたまっていたBSジャパンファッション通信」を久しぶりに見る。
(昨年までは4,5年続けて見ていた)昨日の放送は「2013春夏パリコレクション」の特集。
これも続けてみていると、ある種のモードな感覚が自分に感染する。
そのモードでなければ見えてこない面白さのようなものがあり、
見続けないと(あるいは同じようなものに触れ続けないと)それがわからなくなってしまう。


先週も引用した斎藤環さんのひきこもりの本の中で、
「人間は100%オリジナルな欲望などなく、どんな欲望も他者からもらう(感染する)ものである。」と記されていた。
何かしたくなるのを、ただひきこもって待つばかりでは、いつまでもその衝動は起きない。
また、自分のこころを振り絞っても出てはこないのだという。


昆氏のような「ビジネスパーソンとして成功する」という目標設定の仕方を、
「つまらない」と学生時代は強く思っていたし、今でもその名残りはあるけれど、
それは遠巻きに見ていたから、そう見えただけで、
働くという行為の多くの部分はこのモードに感染すべきようにできており、
そこにいつまでも抵抗していて感染しまいとしているのも不自然な気もする。


理想はそれなりにあるけれども、そこへと至る野心がいつも不足しているので、
借りものでも昆氏のような野心を借りようと思った。