変態作家

今年の11月から六本木の森美術館で「会田誠展」が開催される。
この展覧会は「会田誠:平成勧進プロジェクト」」と銘打たれて、
展覧会に必要とされる運営資金(通常、森美術館クラスになると1000万円以上になるという)
を、個人のサポーターからの勧進(寄付)でまかなおうとされている。
会田誠:平成勧進プロジェクト | 森美術館


その理由は、会田誠氏の絵が端的に言えば「変態」的であり、
「協賛することが企業利益にもつながる」という通常のスポンサーの図式に乗らないからとのこと。


2010年2月に見た国立国際美術館の「絵画の庭」という展示で、
彼の作品「ジューサーミキサー」「滝の絵」を見たが、いろいろな意味で圧倒された。


滝の絵(2007-2010)(3×4m程もある大作)

ジューサーミキサー(2001)
会田誠 / Makoto Aida



斎藤環さんの最近の本を5冊ほどまとめ買いし、つまみ読みをしているが、
彼は同じく精神科医ラカンがそう考えたように、
「すべての人はそれぞれの形で皆、精神に異常さを持っている」と考える人であり、
「自分はまあまあ正常であるが、あいつは異常だ。」と分ける思考を嫌われる。
そういう部分にとても共感を覚える。


「ジューサーミキサー」はグロで、「滝の絵」はロリであるけれども、
彼の他の作品を掘り下げていくと、上の2作は極めて美術館向きのきれいな作品だといえる。
秋に公開される彼のドキュメンタリー映画「駄作のなかにだけ俺がいる」のタイトルが示すとおり
彼の異常さの本領は、駄作の中にあり、私にはまだそれをよいと思える感性がない。

会田誠ドキュメンタリー映画・DVD「駄作の中にだけ俺がいる」


彼の絵が、そのように
企業の協賛を得ないけれども、六本木ヒルズ森美術館で開催され、
上映してくれる劇場がどれだけあるかわからないけれども、映画が作られることになる。
長い時間は要したが、
一般受けしないまま(キモいまま)受け皿が設けられたというところが画期的だと思う。


社会が、マクドナルド化(計算・予測・制御の可能性と効率を重視する社会)することで、
コミュニケーション能力の欠除等、少しの異常さも病名なしには許容されない流れの中で、
上記のような流れが、アートという特殊なカテゴリーに限定されず波及すればよいなと思う。