食・住・衣の.INC 役割とマニュアル

スローフードをネットで調べていると、
食についての警鐘が多く、極端なものも多い。


今年、日本で公開された「フード・インク」という映画を借りてきて見る。
アカデミー賞候補にもなったから、これは極端なものに類しないと思う)

フード・インク [DVD]

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アメリカの食肉用家畜(牛、豚、鶏)がいかに劣悪な環境で育てられ、
その職業に従事する人が過酷な労働を強いられグローバル企業に支配されているか、
そして、行政機関も立法機関もグローバル企業の言いなりだとの告発。
後半は、その飼料にもなる大豆、コーンの同じような問題について。


最後に掲げられている我々が取るべきアクションは、

・労働者や動物に優しく、環境を大事にする企業から買う
・旬のものを買う
・有機食品を買う
・成分を知る ラベルを読む
・地産食品を買う
・農家の直販で買う
・家庭菜園を楽しむ(たとえ小さくても)
・家族みんなで料理を作り、家族そろって食べる
・健康な給食を教育委員会に要求する
・食品安全基準の強化とケヴィン法を議会に求める
・システムを変えるチャンスが1日に3回ある
・世界は変えられる ひと口ずつ 変革を心から求めよう

という、決して高くないハードルである。

まとめれば「生産者は作りたくないものを作らされている」
この流れを止めるのは、生産者の個々の意志では難しく、
不買運動で大きなシステムの流れを変えていくしかないと。


しかし大きなシステムでは、食肉は最初から切り身であったかのように、
過程を抹消し製品化することを徹底している。
殺して食べているという罪悪感を消すとともに、
その過程が健全なものであるかの懐疑心も消してしまっている。


島村菜津さんと辻信一さんの対談本「そろそろスローフード」を読んでいると、

「幸せに生きた動物はおいしい」

とあった。


たずさわる人々が、幸せであるかどうか。
やりがいを感じれるかどうかという問題はまだまだ未開拓であると思う。
先週引用した宮台さんの文章に

かつては熟練仕事や非流動的人間関係が「仕事での自己実現」を可能にしました。

とあるように、建築のそれぞれの工程に携わる人々のやりがいを考えた時でも、
昔と今では、やりがいを持つことが難しくなっていると思う。


もちろん熟練工は重宝されるが、それよりも「役割とマニュアル」が重視され、
それぞれの職人は自身の役割以外の作業をしてはならないし、
設計者が作ったマニュアル、メーカーが作ったマニュアルのとおりに進めなければならない。
そして法律はマニュアルどおりにしか作ってはならないと指示する。


上記、アメリカの食肉産業における問題はマニュアルを操作しているエリートに起因しているが、
同じようなことが、建築業においても言えるのだろう。
とはいえ、マニュアルを作る側もまた、「役割とマニュアル」に支配されており、
そのマニュアルを作る者もまたマニュアルに支配されている。


そうではない状態へ、戻せるのならば戻したい。
これは、安藤忠雄氏がよく言われる
「関わってる職人、皆がプライドを持って仕事をしてるかで出来る建物の質が全然ちゃいます」
とは別の次元の、誰もが気張らずとも感じれるような衣食住の自然な状態への回帰への欲求だと思う。


少しそれるが、先日、日本の有名「つけまつ毛」ブランドが、
中国のUTT(UNITED TOKYO TRENDS:109のような店)に進出し、
まだ、ほとんどしている人がいない「つけまつ毛」の
使い方の啓蒙キャンペーンをしているのをテレビで見て、
同じたぐいの違和感を感じた。


グローバル化は、その土地、その人の文脈を見つめたものであるべきだ。

そろそろスローフード―今、何をどう食べるのか? (ゆっくりノートブック)

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